パチンコ店のアルバイトは知っていた

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報道番組を見ると、頻繁に北朝鮮の核問題が取り上げられています。
アメリカの北朝鮮における「テロ支援国家指定解除」そして再度北朝鮮の核保有問題勃発など、その議題は尽きるところを知りません。

しかし20年前の日本国民で、北朝鮮が核保有していることを知っていた人がどれだけいたでしょうか?
政治家や官僚、国政にかかわる人はおそらく知っていたと思われます。
民間人がこのことをリアリティをもって受け入れたのは、おそらく北朝鮮のテポドン発射以降ではないでしょうか。

…わたしは20年前から知っていました…。
なぜならわたしは20年前、北朝鮮が経営する大型パチンコ店でアルバイトをしていたからです。
朝鮮人や韓国人は遊戯施設や飲食など”ひとをもてなす仕事”に長けています。
おのずとパチンコ店もその範疇に入るので、日本におけるパチンコ店の経営者は朝鮮人と韓国人がほとんどなのです。

19歳のわたしは、朝鮮人が経営する府中市のパチンコ店でアルバイト勤務していました。
社長の長男坊や副社長の二男坊、そして専務の二男坊が、修行のために各パチンコ店のホールスタッフとして働いていました。
わたしが所属する大型パチンコ店には専務の二男坊がいたのです。
専務の二男坊は本沢さんという25歳の日本人男性でした。
そうです、当然専務の父親も日本人です。
朝鮮人が経営する会社の中枢には、日本人も存在していたのです。

本沢さんは、北朝鮮の格闘技”テコンドー”の達人で、全国大会にも出場していました。
アルバイト仲間は大学生やフリーターなど20代がほとんどです。
本沢さんに引きつれられて、よく府中の街を飲み歩きました。

…北朝鮮が核爆弾を保有していることなどわたしたちは何も知りませんでしたし、北朝鮮にあまり興味もなかったのです…
いつものごとく本沢さんと飲んでいると、その居酒屋に社長の長男坊と副社長の二男坊が現れました。
彼らとの遭遇にわたしたちアルバイト仲間は緊張しましたが、本沢さんは彼らと親しげに話しています。
社長の長男坊と副社長の二男坊は日本語もペラペラなのです。
ここに居合わせたのもなにかの縁と、みんなで楽しく飲むことになりました。

飲み会は盛り上がり、みんなハイテンションです。
酔いがまわるにつれ、社長の長男坊と副社長の二男坊は朝鮮語で個人的な話をするようになりました。
しかしわたしたちにはちんぷんかんぷんです。
べろんべろんになりながら「本沢さーん、あのふたり何話してるんですかあ?」と質問したところ…。

「自国北朝鮮がいつ核爆弾を使用するかもしれないからオヤジがシェルターを買った」と、話してるよ…とのお返事が…。
わたしは自分がいかに呑気に生きてきたか思いさらされました。
そうです、勝手に日本は平和と決めつけてはいけないのです!

それから長い年月がたち、北朝鮮の核保有が日本で衝撃的に報道されましたが、わたしはなんら驚きませんでした。
だってそのことは、居酒屋の席できいて随分前から知っていたのですから。