女性社員の制服事情

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数年前から女性社員の制服を廃止する企業が相次いでいます。

「女性総合職」が誕生する以前、女性は事務職、男性社員は営業や総合職という区分をされていた時代がありました。
女性社員の制服とはその時代の名残りでもあります。
一方で制服には、職場の雰囲気をキリッとさせたりお客様に安心感を与えたり、汚れを気にせずに済むし毎日の服装に悩まなくて済むなどのメリットもあります。

日本の大手である○○建設で、女性社員の制服廃止論議がもちあがりました。
廃止を唱える急先鋒は○○建設の人事部長でした。

現在の日本は、男女雇用機会均等法が施行されています。
しかも、たくさんの会社が近年続々と女性社員の制服を廃止しました。
「女性社員の制服を廃止して、リベラルで快活な社風を目指そうではないか!」それが人事部長の主張でした。 (女性社員の制服を廃止すれば”コスト削減”ができるという本音は見え隠れしましたが…) 人事部長の主張を後押しするのが、いわゆる「総合職」「キャリア組」と呼ばれる、○○建設における才色兼備の女子社員たちです。

才色兼備の彼女たちは女性社員の制服廃止にこう主張します。
「私たちも男性と互角に仕事をしています、制服の着用義務は女性に対する差別意識です!」
人事部長や総合職の女子社員の強力なプッシュによって、女性社員の制服廃止はほぼ決定と思われました。

「女性社員の制服廃止について、実際女性たちにアンケートをとったらどうですか?」
ある女性社員のこの何気ないひと言は、意外な展開を生みました。
…たしかに言われてみればその通りと、総合職の女性社員たちは人事部長含む○○建設上層部の男性社員にアンケートを持ちかけました。
しかし、一度決めたことは覆せぬ!とばかり、話を取り上げてもらえません。

総合職の女性社員たちは自分たちだけでアンケートを実施することにしました。
「女性社員の制服廃止案が出ています、女性社員みなさんたちの本音の意見をお聞かせください」
アンケートの結果はなんと、圧倒的多数で”女性社員の制服を廃止してほしくない”だったのです。
特に年齢層が上がるほど制服廃止反対の傾向が強く、反対の大多数が“私服に自信がない”という理由でした。

他の主な意見には、”制服は自分の体型を隠してくれる”“会社が支給してくれるので金銭面で助かる”などが多数寄せられました。
でも結局、○○建設では女性社員の制服は廃止されてしまったのです。
残念ですが、女性社員のアンケートは荼毘にふされてしまったのでした。
女性とはなんともたくましい順応性を持つ生き物です。
それならば私服のオシャレを楽しめとばかり、今では、花が咲いたように艶やかに着飾った女性社員たちが毎日職場を闊歩しています。
特に上の年齢層の女性社員たちはふんだんな資金力を武器に、オシャレにかなり気合いをいれているそうです。

余談になりますが、銀行などを中心に、女子社員の制服を再度復活させる気配が最近では出てきているとのことです。