ナチュラリスト組のとまどい
「みんな申し訳ないが一旦仕事の手を手めてもらえますか?」
よく響く岡の声にフロア全員が一斉に振り返った。
「急な話しで驚くかもしれませんが、片桐くんが今月いっぱいで我が社を退職することになりました」
フロアが一瞬ざわめいた。
業務に接点のない社員は、美春の退職に”へえ…”という淡白なリアクションだ。
反面、天野や西条、瀬戸…その他『ナチュラリスト組』は感情あらわなリアクションを示している。
瀬戸は別として、天野と西条に至ってはかなり狼狽していた。
「片桐くんには月末の退職日まで後任の引き継ぎをやってもらいます」
「ナチュラリストは最近業績が好調だし、有能な片桐くんが退職するのは正直痛いのですが…」
「本人の意思で決めたようなので、みなさん今後片桐くんの引き継ぎ業務を手伝ってあげてください」
そう言い終わると岡は自分のデスクに戻った。
岡の見ている手前、仕事中に私情を挟むわけにはいかない。
本音を言えば美春を問いただしたいところだろうが、天野と西条は渋々業務に戻っていった。
終業時間がやってきた。
省エネのために廊下の照明はすでに消されている。
窓の外はすでに真っ暗なので、照明が点いているいるにもかかわらず、フロアは寒々しい雰囲気だった。
「どうしてこんな急に!?ひとことも何の相談もなかったじゃない!!」
「いっしょにがんばろうって約束したばかりじゃない!」
天野と西条はやはり美春を問いただす。
「急に結婚でも決まったの?仮にそうだとしても、今どき結婚退職なんかの時代じゃないよ」
「やっと『ナチュラリスト』も軌道に乗る気配が見えた矢先なのに…本当にどうして」
天野は心底残念そうな顔をした。
「一応わたしが上司ということにはなってたけど…」
「片桐さんは仕事でいつも体を張ってくれて矢面に立ってくれて、すごく頼りがいがあったのに…」
西条はとても寂しそうで、そして少し不安そうだった。
「…で、結局本当の退職理由はなんなの?」天野と西条はさらに追及してくる。
よく響く岡の声にフロア全員が一斉に振り返った。
「急な話しで驚くかもしれませんが、片桐くんが今月いっぱいで我が社を退職することになりました」
フロアが一瞬ざわめいた。
業務に接点のない社員は、美春の退職に”へえ…”という淡白なリアクションだ。
反面、天野や西条、瀬戸…その他『ナチュラリスト組』は感情あらわなリアクションを示している。
瀬戸は別として、天野と西条に至ってはかなり狼狽していた。
「片桐くんには月末の退職日まで後任の引き継ぎをやってもらいます」
「ナチュラリストは最近業績が好調だし、有能な片桐くんが退職するのは正直痛いのですが…」
「本人の意思で決めたようなので、みなさん今後片桐くんの引き継ぎ業務を手伝ってあげてください」
そう言い終わると岡は自分のデスクに戻った。
岡の見ている手前、仕事中に私情を挟むわけにはいかない。
本音を言えば美春を問いただしたいところだろうが、天野と西条は渋々業務に戻っていった。
終業時間がやってきた。
省エネのために廊下の照明はすでに消されている。
窓の外はすでに真っ暗なので、照明が点いているいるにもかかわらず、フロアは寒々しい雰囲気だった。
「どうしてこんな急に!?ひとことも何の相談もなかったじゃない!!」
「いっしょにがんばろうって約束したばかりじゃない!」
天野と西条はやはり美春を問いただす。
「急に結婚でも決まったの?仮にそうだとしても、今どき結婚退職なんかの時代じゃないよ」
「やっと『ナチュラリスト』も軌道に乗る気配が見えた矢先なのに…本当にどうして」
天野は心底残念そうな顔をした。
「一応わたしが上司ということにはなってたけど…」
「片桐さんは仕事でいつも体を張ってくれて矢面に立ってくれて、すごく頼りがいがあったのに…」
西条はとても寂しそうで、そして少し不安そうだった。
「…で、結局本当の退職理由はなんなの?」天野と西条はさらに追及してくる。