やる気満々!燃え上がる闘志 : MIHARUアラウンド(転換期)

やる気満々!燃え上がる闘志

美春と西条は何度も綿密に打ち合わせを重ねながら、数日に渡ってアクセサリーとバッグの企画案を練り上げていった。
オリジナル衣料との絡みもあるので、天野の意向も慎重に確認しながら企画を具現化していった。

― ここ数日、麻生とは電話とメールでやり取りしている ― 

販促会議の行われた月曜日、美春たちがフロアを出たのは結局夜10時半もまわった時刻だった。
くたくたの残業後の体に鞭うって自宅にいる麻生に電話をかけた。
どうしてもその日のうちに麻生に聞いてほしかった。

「麻生さん聞いて!ブランドが立ち上がって初めて単独で企画を任せてもらえたの!」
「おーすごい!」
麻生が心から喜んでくれているのが電話から伝わってきて美春はさらに嬉しくなった。
「仕事で大きく成長できるチャンスだから、正念場だと思ってがんばるね」
「応援してるよ、会えないのがさびしいけど」
「アラウンド40男がなに甘えてるの!ちゃんと応援して!」
「…スミマセン…」
土曜日の夜には、麻生の自宅マンションで晩御飯を食べようという約束をして電話を切った。
仕事で疲れているであろう美春を気遣い、麻生が手料理とワインをふるまってくれるという。
土曜日の夜の食事には、仕事を任された美春へのお祝いの意味も含まれていた。


工場や卸業者とのサンプル打ち合わせもほとんど終わり、金曜日から企画した商品が工場の生産ラインに乗ることになっている。
あとは仕上がってきた商品の出来ばえを確認しつつ微修正を繰り返す、それは来週に持ち越される仕事だ。
美春は久しぶりに、ジェットコースターのように加速度的な、圧倒的な仕事の充実感を味わっていた。

会社の終業のベルが鳴り、帰る者は帰り、残る者は残る。

パソコン画面に没頭する美春の肩を、岡マネージャーがぽんと叩いた。
「片桐くん今日も遅くまで時間がかかりそう?」
美春は思案しながら「いえ、だいぶ目途もたってきましたから、そんなに遅くはならないと思いますが」と、マネージャーに返事をした。
「軽く一杯行くか?」
岡はグラスを持つまねをしながら目くばせする。
「岡マネージャーと飲みに行って軽くってのは嘘ですね、でも、はいよろこんでっ!」
美春は岡に敬礼のポーズをした。

BACK HOME  NEXT