クリスマス商戦突入 : MIHARUアラウンド(転換期)

クリスマス商戦突入

11月も下旬を迎え空気が底冷えしている。

丸裸になった舗道の並木が寒さに凍えているように目に映る。
昨夜、北海道や東北では豪雪を記録したそうだ。
関東でも今日あたり一部の地域で初雪が降るかもしれないと、ニュースで気象予報士が告げていた。

前回の販売促進会議からとうとう3週間がすぎた。
美春と天野、西条は、なんとか企画から納品までを無事に済ませることができた。

販促会議以降、バイヤーの瀬戸と話す機会が極端に少なくなった。
フロアの雰囲気も変化したし、瀬戸自身の雰囲気も微妙に変化したような気がする。
でもそんなことは気にしていられない。
どの店もすでにクリスマス商戦に突入してしのぎを削っている現状だ。
あとは『ナチュラリスト』のショップスタッフたちが頑張ってくれることを期待するしかない。
もちろんどんな手間も惜しまず、現場のアフターフォローに尽力するつもりだが…。

「片桐さん、ショップからの日報見た?」
天野が声をかけてきて、『ナチュラリスト』から届いたFAXを美春の机の上に置いた。

新商品がショップに投入されてすぐに、予測通り数字が動き始めた。
天野の企画したオリジナル衣料によって死に筋だった商品がじりじりと売れ始めている。
美春と西条の企画した小物の投入によって、客単価もセット販売率も以前より上昇している。
美春が販促会議で提案したことはひとまず成果を出したと言ってもいいだろう。
あとはいかにこの売上げを失速させないか…。
時間が許す限り、美春は『ナチュラリスト』の店頭に足を運ぶつもりだ。
繁忙期には、販売員として店頭で接客を手伝おうとさえ思っている。

「この勢いを持続できれば、今月期の予算達成率120%は行きそうですね」
美春は指でVサインを作りながら天野に調子をあわせた。

さばさばとした性格でスタイリッシュな天野に美春は以前から好感を持っている。
ひとつの仕事をいっしょにやり遂げた、その充実した気持ちが、最近ふたりの間にさらなる連帯感を生み出していた。

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